社員旅行1日目

社員旅行である。
行き先はなんと北海道2泊3日。
弟子の苦手な飛行機を利用しての旅、航空会社は例の鶴(今は日の丸)。
沈まぬ太陽を愛読していたことが悔やまれる。
 

  
丸の内支店から電車で羽田に向かう途中からビールをあおり、空港でも飲み続ける。
これだけ飲めば、酒に弱い弟子のことだから眠ってしまうと思ったが、
恐怖が眠気に100馬身差で打ち勝ち、
1時間ちょっとを泣きそうになりながら飛ぶことになる。
無事函館空港に到着した時は俺一人で拍手してしまった。
 
飛行機の便の関係で3時間ほど早く着いていた半分のメンバーは、
函館ビール園ですっかり出来上がり、平均年齢50近くであろうにもかかわらず、
修学旅行生を超える浮かれっぷりで歓迎してくれた。
 
早速バスに乗り換え、最初の観光地、トラピスチヌ修道院へ向かう。
函館には2回来たことがあったが、
両方とも函館競馬場がメインだったため、正直初観光といっても過言ではない。
しかも1回目は中山競馬をオーロラビジョンで観戦するという、
ネタ作りのためのような企画であった。
どうでもいい話だが、当時ラムタラが40億円で買われていた。
1回目を企画した湯一路師匠、とにかく流石です。
 
空港から程近い位置にあるトラピスチヌ修道院、10分ほどで到着。
 

  
厳しい戒律によって祈り、労働、睡眠を続けるということで、
「弟子さんは対極に位置していますね」
と後輩から突っ込まれてしまった。
「オオゥ!ジーザスクライシス!」
と叫んでおきました。
 
で、次は五稜郭
後輩の一人が
「私、土方歳三(さいぞう)好きなんですよ~」
とのたまう。霧隠才蔵のことか?としぞうだ、としぞう!
酔っ払った上司が5角形のものを見つけるたびに
「これも五稜郭、それも五稜郭」
と五稜郭を連発していた。
 

  
酔っ払い20数名を乗せたバスは本日の宴会場兼ホテル渚亭にようやく到着。
ロビーにおいてあった木彫りの熊に対し、
この熊を使っていかに自分を表現できるかコンテストを急遽開催。
首をかまれる後輩1。
尻をかまれる弟子。
大切な所を喰われる後輩2。
後輩1、弟子ときて、なかなかのプレッシャーに耐え
ちゃんと落としどころをわきまえた立派な仕事、後輩2ナイス。
 
そしてとりあえず温泉。
酔っ払った先輩が備え付けのカミソリで髭剃り中、顔面を切創し、
プロレスラーみたいになっていた。
 
ついに宴会開始。
乱れることを見込んだ上司が仲居さんに
「会社名の札を外してください」
と頼んでいた。こういう防御力の高さが出世につながるのだと弟子尊敬。
体育会系の会社らしく、大盛り上がり。
隣の銀行と化粧品会社はお通夜みたいになっていた。
「あいつらにはコンパニオンまでいるのになってない」
と皆で揶揄する。
 
楽しい宴会も終わり、ラーメンを食べに外に出る。
酔いつぶれた後輩1名を部屋に残し、ほぼ全員参加で向かう。
「とりあえず生」
あれだけ飲んだのに、店に入って最初に言う言葉はこれしかない、
そう言わんばかりにビールを注文する。
生のニンニクが薬味として置いてあり、
やっぱりじゃんけんで負けた人が食べなきゃ駄目ですよね、と無駄な勝負をする。
先ほど流血していた先輩が負け、
「やっぱりね、ニンニクは生でかじるのが美味いんですよ」
と40歳オーバーにして普通に壊れていた。
 
ようやく塩ラーメン到着。
「塩ラーメンキター!」
と大絶叫。
「塩ラーメン!塩ラーメン!塩ラーメン!」
とアホどもによってコールが沸き起こる。
味も美味しい。
 
ホテルに帰り、再度温泉。
露天風呂の前がプライベートビーチになっていたため、
松田聖子、青い珊瑚礁を熱唱しながら防波堤を乗り越え津軽の海へ泳ぎに出る。
余りの冷たさにハイポサーミアになり、水没しそうになる弟子。
見捨てる後輩。手足がうまく動かない弟子。
生まれたままの姿で母なる海へ帰るところでした。
冷え切った体を温泉はやさしく包んでくれました。
 
部屋に帰り再度宴会。
お土産に買ったはずのフリーズドライされたコーンをおつまみとし、
ウイスキーで締め。
嚥下機能が低下していた弟子の気管をドライコーンが直撃、
呼吸困難で死ぬかと思って1日目終了。
 
 

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